めも
真夜中に消息を絶つ
こうして真夜中をひとりであるくと
わたしは黒い空間に溶けて
とまった時間の色になる
夜風のヴィオロンが頬をなでて
いつもよりすこしだけ気分が愉快になる
こうして闇夜に溶けていると
よるのいきものささやきがこえて
にぎやかに孤独をささめきあう
むねにたまった灰色の気持ちも
この夜には真黒の墨に洗われる
夜の匂いに酔いながら
正気で叫んでワン、ツー、スリー
この時間には誰もひとりの夜に消滅して
わたくしも仲良く消滅する
ああ、金色の孤独よ
世界に私だけの喜びよ
もうすこしだけ 醒めないでおくれ